ファーストフードを堪能しながら、友達の話に耳を傾ける。
昼休みの教室では聞けなかった、それぞれの恋の話に花が咲く。
「えっ、フミって彼氏できたの?」
「つい最近ね」
「塾で知り合った他校の生徒だって。やらしー」
サツキが茶化すように言う。
「べつにやらしくないし!」
フミが赤い顔で反論する。
よく聞くとサツキやヒトミも好きな人がいるらしく、何も知らなかった私はちょっとすねた。
「ふーん、みんな恋してんだ」
教えてほしかったなあ。ま、誰が聞いているかわからない昼の教室じゃ無理だし、SNSでもそんな話聞けなかった。
自分が他人の恋愛まで気にする余裕がなかったということを思い知る。
「瑞穂はどうなの? 好きな人、いないの?」
「えっ?」
興味津々なサツキの顔が、私を覗き込む。
好きな人……そう聞いて、私の脳裏に浮かんだのは、何故かあの茶髪の彼だった。



