いつもの教室のいつもの席につくと、周りがにわかにざわついた。


「え……瑞穂?」


サツキが一番に声をかけてくる。


「瑞穂? ウソ、どうしたの!?」


フミも寄ってきて、私を頭の先からつま先まで、なめるように見た。

そりゃあそうだよね。たったふた晩でこんなに太る人、なかなかいないよね。

体重計で計ってみたら、倒れる前の体重より、10キロ太っていた。

それでも平均体重に届かない、スリムな体型でとどめてくれて、ありがとう。

心の中で死神くんにお礼を言う。


「早退した日に病院で治療したら、元気になったんだ。もう、普通の人と同じだよ」


堂々と嘘をつく。

本当のことを言っても信じてもらえないばかりか、イタイ子と思われるのがオチだもん。


「本当に? 良かったね~!」

「良かった、良かった!」


二人が私を挟んで、ピョンピョンと飛び跳ねる。

周りがそれを、何事かと見ていた。


「何やってんの?」

「あ、ヒトミ。瑞穂が、元気になったんだって!」

「ええっ?」