それを愛だというのなら



「ううん。お疲れ様」


同じように右半身も動かなくなってしまった彼は、ここでリハビリを続けている。

頑張れば車いすなしでも生活ができるようになるかもと言われ、いつになるかわからないその日を目指し、日々頑張っている。

私は健斗の車いすを動かし、エレベーターへと向かう。

五階の病棟の隅にテラスがある。外の空気を吸おうと、そこへ誘う。


「リハビリどう?」

「もう、無理。超、つら、い」

「だよねー。でも毎日頑張って偉いね」

「だって、また、瑞穂を、バイク、乗せたい、から」


そう言ってニッと笑う顔は、知らない人が見たら不気味がってドン引きするかもしれない。

でも私には、眩しいくらい輝いて見えた。


「うん。絶対乗せてね」


私のクローン病も、一進一退を繰り返している。状況は決して良いとは言えない。

でも、じゃああのとき死んでいれば、なんて絶対に思えない。