それを愛だというのなら



「私は、健斗を信じる。健斗を好きになった、自分を信じる」


私が信じるのは、目に見えない大いなる力なんかじゃない。

好きな人がいるから、泣く。

好きな人がいるから、笑う。

そんなすべての感情を、愛だと呼ぶのなら。

私は、それだけを信じることにする。


「さようなら、死神くん」


もう奇跡はいらないの。

きっぱりと別れを告げると、死神くんは見せたことのないような寂しそうな顔をした。

そして、闇の中に溶けるように、姿を消してしまった。