大人たちはこんな私を嗤うかもしれない。
恋愛なんて一時の感情でそんなことを思うなんて、おかしいと。
でも、仕方ない。
いつか離れ離れになったとしても、この世のどこかで健斗が生きていてくれるなら、私も生きていける。
彼がこの世に生きていてくれるだけで、私の勇気になる。
だけど、死んでしまったら……。
「私は死んでもいい」
言いながら、本当はそんなの嘘だってどこかで理解していた。
死にたいか死にたくないかって言われたら、死にたくないに決まってる。
でも、健斗が死ぬか私が死ぬかで考えたら、抜け殻の私が生き残ることより、健斗に生きてもらう方を選ぶ。
「だから、健斗を助けて……!」
懇願すると、ぐっと手に圧力を感じた。
ハッとして見ると、健斗の手が、強く私の手を握っていた。
「健斗!」
健斗はうっすらと目を開けて、こちらを見ていた。けれど、体を動かすことはかなわないみたい。



