それを愛だというのなら



死神くんが不快感を露わにして私をにらむ。

そんなことない。

この学校の誰が死んだって、それが言葉を交わしたことのない人だって、悲しいに違いない。


「私なら……」

「ん?」

「私が、代わりになるから。魂、先払いするから。お願い、健斗を助けて」


産まれて初めて、土下座をした。

前髪が、健斗の血に濡れた。


「何を……」

「お願い。それでも足りないって言うなら、来世の、そのまた来世の、ずーっと来世の魂もあげる。二度と人間として生まれ変われなくてもいい。この髪だって、目だって、何だってあげるから! だから、健斗を助けて!」


叫ぶと、死神くんの呆れたような声が降ってきた。


「その者の代わりに、自分の命を差し出すと言うのか」


顔を上げる。死神くんは、まるで理解ができないという顔をしていた。


「だって……健斗が、私の生きる意味なんだもん」


一緒にいられないのなら、生きている意味がない。