「どけ」
「いやっ」
「私が狩らずとも、他の死神が必ずその者の魂を狩りに来るぞ」
「いやあああっ」
なんでよ。どうして健斗じゃなきゃいけないの。
ひどいよ、神様。私から、たったひとつの希望の光を奪おうって言うの。
健斗がいなきゃ、生きていけない。
健斗がそばで笑ってくれて、たまには怒ってくれて、それがあるから生きていこうと思えるんだ。
私だって、これから病気以外にもたくさんの壁にぶち当たるだろう。
だけど、いくら泣いたって、健斗がそばにいてくれると思うから、生きていける。
「心配するな。時が癒してくれる。その者も、最愛の者を亡くしても生きていたではないか」
健斗はそうかもしれない。けど、私にはムリだよ。
「お願いっ、健斗はダメ。健斗はお医者さんになって、これからたくさんの人の役に立つんだもん」
「じゃあ、他の人間ならば死んでも良いというのか」



