それを愛だというのなら



「ああ……っ!」


やっと見つけた健斗は、舞台に倒れ込んでいた。

頭部や肩が真っ赤に染まっていて、傍らには割れて壊れた照明が伸びきったコードと一緒に落ちている。


「どうしよう、どうしよう」

「落ち着けよ! 救急車呼んだんだから、待つしかないだろっ」


オロオロし、泣きだす周りのキャストたち。


「お前のせいだぞ」

「なんでだよ。お前が力を入れすぎたからだろっ」


ドラゴンを動かしていたのであろう人たちの言い争い。

そんなのどうでもいい。


「健斗……!」


駆け寄って座り込む。膝が、健斗の血で濡れた。


「やたらと動かさない方がいいぞ」


誰かの声が遠くから聞こえたような気がした。けれど、それに答える余裕はない。


「ねえ健斗、返事して。健斗、健斗」


血まみれの手を握るけど、健斗は返事をしない。

まぶたも閉じたまま、ぴくりともしなかった。


「ウソでしょ、こんなの。ねえ、健斗」


必死で呼びかける。返事はない。