長い首を付けた頭が、舞台の上部にあった照明を吊るすパイプに激突する。
ガシャアアアンと大きな音がして、首が折れた。そのまま沈没していくドラゴンに観客たちが気を取られていた、その時。
私は、見た。
健斗の上部にあった一つの黒い照明機械が、彼に向かって落下してくるのを。
「健斗っ!!」
叫んだけれど、遅すぎた。
照明は引力に逆らえず、健斗の体の上に、落ちた。
「キャアアアアアアアアッ!!」
「やべえ、王子が潰れた!」
そんな声が聞こえ、膝が震える。
嘘でしょ、健斗。
体育館の隅で見守っていた教師たちがいっせいに動き出す。
私も、いつの間にか駆け出していた。
「照明を落とせ! 幕を閉めろ!」
教師らしい声が聞こえてくる。
「こらっ、席に戻れ」
私が舞台へ続く階段を駆けあがろうとすると、男性教師に止められた。けれどそんなものにかまっていられない。
彼の脇を擦りぬけ、舞台の上へ。
邪魔なドラゴンの張りぼての残骸を夢中で乗り越え、健斗の方へと向かう。



