夏休み中は入院してたし、一緒に参加して作り上げたなんて感動は全く浮かんでこないけど、幕が上がりだして急にドキドキし始めた。
健斗、頑張れ。
汗をかいた拳を握りしめ、舞台に集中する。
産まれたばかりのオーロラ姫が魔女に呪いをかけられる。彼女を守るため、妖精たちは森の中でオーロラ姫を育てることに。
誰もが知っているストーリーなので、一年や三年の中にはうとうとと居眠りし始める者もいた。
けど、私はまったく眠くなる気配がない。
やがて美しく成長したオーロラ姫が登場。ああ、あの子健斗と同じ理系クラスの子だったような。よく引き受けてくれたな。
彼女は背がすらりと高く、派手ではないけど綺麗な顔立ちをしていた。健康的な手や頬が綺麗で、羨ましい。
森の中で動物たちと歌を歌う彼女の前に……出た! 王子様だ!
健斗が姿を現した途端、会場がどよめいた。そんな気がした。
前の方の席にいる女子たちが、こそこそと何かを話しだす。



