目当てのカフェ……と言っても、四畳くらいの小さなカウンターの前に、四つほどの丸テーブルが並んでいるだけ……に着き、私は抹茶ラテ、健斗はごく普通のアイスコーヒーを注文し、空いている席についた。
「で、体調はどんな感じ?」
世間話でもするように、健斗が尋ねる。
「元気になる前に戻っただけ。倒れた時はひどい炎症を食道から腸まで起こしていたけど、今はだいぶおさまったよ」
「そっか。クローン病だっけ」
「そう。国の難病に指定されてはいるけれど、いきなり死んだりしないの。ただ炎症を繰り返すから、完治は難しいんだって。やっぱりねって感じ」
はははと笑って見せるけど、健斗は無言でコーヒーをすすっただけだった。
あれ、また地雷踏んじゃったかな。
「……面白くないことで、無理に笑わなくていいよ」
「は……」
「俺に気を遣わなくていいから」
そう言い、健斗は私の頭をくしゃっとなでた。
それだけで、胸が痛くなる。



