健斗を誘い、エレベーターに乗って一階へ向かう。
「講習の休み時間に、瑞穂の友達に話しかけられた」
「え。何か言ってた?」
「うん。心配してた。どうして講習に来ないのか、メールの返信すらないんだけど、何か知ってるかって」
そんな話をしている間に、エレベーターはすぐに一階へ着く。
「で?」
「詳しくは本人からの連絡を待ってほしいって、言っておいた。けど、彼女たちは俺が夏休み前に瑞穂をフッたことが原因じゃないかって思っているみたい」
「はい?」
「別れたって言ったんだろ? 彼女たちの間では、どうやら俺が、瑞穂を傷つけて捨てたことになっているみたいだ」
まさか。サツキたち、いったいどういう想像をして、健斗にどういう言い方をしたのか。
「私、そんなこと言ってないからね」
「わかってる」
健斗は苦笑し、サツキたちから受けたのであろう苦情について、それ以上詳しく話そうとはしなかった。



