「……どうして女の子ってそうなのかな」


嗚咽がおさまってきたとき、横から健斗の呆れるような声がした。


「まどかもそうだけどさ。俺の幸せがどうこうとか、どうしてそっちで勝手に決めて、勝手に考え込んで、落ち込むの?」

「勝手にって……」


顔を覆っていた手を離す。

するとそれが、健斗の手に捕まった。


「瑞穂は俺になにもできないって言うけど、俺がいつ何かしてほしいって言った?」

「え……」

「何も言ってないのに、弁当作ってくれたじゃん。図書館で真剣に俺の説明を聞いてくれたし、バイクに乗せただけで、飛び上がるくらい喜んでくれた」


彼はぎゅっと私の手をにぎり、自分の膝に乗せる。


「中学の同級生に絡まれたとき、必死で引き留めてくれた。今の俺が好きだから、バカにされて悔しいと言って、泣いてくれた。俺は自分のために泣いてくれる人間に、初めて出会った」

「健斗……」

「瑞穂は、ただ生きているだけで、俺にたくさんの幸せをくれるんだ」


思わず顔を上げる。

健斗の瞳が、こちらを真っ直ぐに見つめていた。