それを愛だというのなら



「もう、一緒においしいものも食べられない」


一緒のお弁当も、花火大会で出ていた夜店のからあげも、たこやきも。
炭酸飲料も、かき氷も。


「バイクの後ろにも乗れない」


絶対に口には出したくないけど、痔に似た症状が出るから。

お尻が痛くて、長時間座っていられない。

たくさん歩くのも、困難なときもある。


「知ってる? 私、鼻から胃までチューブを通して、栄養剤を点滴みたいに夜通し入れなきゃいけないの」


朝起きたら鼻の穴が真っ赤になっているときもある。

そんなものがあるから、泊まりでどこかに行くのは不可能。荷物が多くなりすぎる。


「ガリガリに痩せて、元のみっともない体に戻っちゃう」


自分で言ううちに、どんどん悲しくなってきた。


「健康な子だったら、可愛くオシャレをして、どこにでも行けて、何でも食べられる。健斗と同じように進学して、就職して、将来は子供もできるかもれない。でも私には、それができない。自分が生きるのに一生懸命で、健斗を幸せにしてあげるとか、一緒に幸せになるとか、そういうの、無理なんだ」