「瑞穂! ちゃんと説明して」
「ごめん、ごめんなさい」
死神くんのことや、まどかさんのこと。
どう説明したって、わかってもらえるはずがない。
「実は……私の病気、いつ再発するかわからないの。もう、健斗を傷つけたくない」
そう苦し紛れの言い訳をすると、目を丸くした健斗の靴が引っ込んだ。
「ごめんなさい。さようなら」
その瞬間を逃さず、早口で別れを言い、ドアを思い切り閉めた。
目の前で、暗く冷たい別離の音がした。
ドアに背中を預け、ずるずるとその場に座り込んでしまう。
何も聞こえないよう、必死で耳を塞いだ。
まどかさんの私を責める声も、健斗の私の名を呼ぶ声も、彼のバイクが遠ざかっていく音も、全部全部、聞こえないように。



