まどかさんを失ったことが、健斗にとってどれだけの衝撃だったのか。
体の半分をもぎ取られたような悲痛な泣き顔に、こちらの胸まで痛くなる。
その後彼が、全てを諦めてしまった気持ちが、わかるような気がした。
もらい泣きしそうになった瞬間、またぐらりと頭の中が揺れる。
視界が歪み、また見えなくなる。
現実に思考が引き戻されているんだ。
なんとなくそう感じて目を開けると、心配そうな顔をした健斗の後ろに、相変わらずまどかさんが立っていた。
『健斗には、本当に健康な、普通の女の子と幸せになってほしいの』
はっきり聞こえてきた、まどかさんの言葉は私にとってあまりにも残酷で。
胸に、ざっくりと鋭い刃物が突き刺さったような気がした。
「……ごめ、ごめんなさい……」
まどかさんは、きっと健斗に幸せになってほしくて、彼が心配で、近くにいたんだろう。
そして、私の寿命が残り少ないことを知っている……。
私はギュッと、健斗にもらったコンビニの袋を握りなおす。
そしてそれを、目の前に突き出した。



