色素の薄い瞳が揺らいだのは、出棺の前に棺の中に参列者が花を入れる場面でだった。

彼は一言、「ありがとう。大好きだよ」と呟くと、花を彼女の胸の上に置いた。

そして他の参列者に場所を譲ると、一粒だけ涙を流した。

参列者を乗せたバスは、火葬場に着く。

ハンカチで目頭を押さえる家族の後ろに、健斗は立っていた。

彼は叫ぶことも泣くこともせず、ただぼんやりと、その場を見守っているように見える。

火葬を待つ間に出された食事に手をつけず、ただ外の景色をぼんやりと眺めていた。

やがて白い骨になった彼女は、小さな骨壺に納められ、バスに乗った参列者は式場へと戻っていく。

式場から家に歩いて帰る道すがら、制服を着ていた健斗は、やっと大粒の涙を流した。

彼は迷子になった小さな子供のように、大声で泣きながら、家までの道を歩いていた。