思わず閉じた目。
ぐらぐらと揺れるような感覚が収まるまで、とてつもない時間がかかったような気がした。
やっと目を開けると、そこには……。
「……健斗……?」
黒い髪をした、綺麗な顔をした少年。
明るい瞳をした彼は、今より少しあどけない顔をしているけど、健斗に間違いない。
三条の中等部の制服を着た彼の横にいるのは、同じ学校の女子の制服を着たひと。
さっき目の前にいたのとは違い、明るい顔をしたまどかさんだ。
二人は仲良く、並んで歩いていた。
この光景は……?
視線を感じて後ろを振り返ると、じっとりこちらをにらむように見ているまどかさんが。
もしかして、これはまどかさんが私に見せているの?
まどかさんと健斗の、中学時代の思い出を……。
そう気づいた途端、立体的に見えていた目の前の景色が、急に映画のスクリーンのように平面的な四角になる。
その中に、まるで映画の予告編のように、二人の思い出の切り抜きが、繋ぎ合わされて流れていく。



