「忘れられた、可哀想な神様たちだよ」
健斗が指さす先には、狭い石の階段が。
その左右には草が生い茂っていて、先を見ると、林から山の中に繋がっているみたい。
こ、こんな人のいないところに連れ込んで、いったい何をする気なの。
さすがに暗い林はちょっと怖くて、違う意味でドキドキしながら健斗の後をついていくと……。
「わあ……!」
石段を登り、息が切れてきたところで、急に視界が開けた。
まるで、周りの木々が、花火のために避けて空間を作ってくれているみたい。
後ろを振り返ると、ふるぼけた石でできた丸い壁と、イスがあった。
イスというか、平べったい岩をそのまま置いたような感じ。
「もとは展望台だったのかな。どういうものかよくわからないけど、今はここに来る人は滅多にいないみたい」
健斗は先に岩に腰かけ、隣を手で叩いた。おいでという意味だろう。
その岩は二人で座るには少し小さくて、お尻が落ちない程度に座ると、ぺったりと体がひっついてしまった。



