それを愛だというのなら



私たちは列に並んでラムネとたこ焼き、焼きそばなど食べ物をゲットすると、花火を見る場所を探し始めた。

河川敷で打ち上げられるその花火の一番良い場所は、事前に券を買って席を取っている人のもの。

次に見える場所も、一人千円くらい払わなくちゃならない。プラス、百均で買えそうなビニールの敷物が五百円。


「高いね……」


ちょっとしんどいけど、その他大勢の人と同じく、立ったまま見るしかないよね。

けど、立ったまま花火が見られるポイントは、もっと早くから来ている人たちに占領されていて、なんとか隙間を見つけたと思ったら、気の葉が邪魔で空が見えない。


「やっぱりな。瑞穂、こっちにおいで」

「えっ?」


健斗は私の手を引き、ぐいぐいと引っ張っていく。

ついていくと、どんどんと夜店も人気もなくなっていく。


「どこへ行くの?」


健斗は狭い路地に入る。

するとなぜこんなところにあるのか不明な、小さな鳥居が現れた。

その左右の足元には、白い狐の置物が。