「気にしないのよ。さ、行こう」
駅まで送ってくれるお母さんの車に乗り込む。
秋穂……ごめんね。
私が高校に入学してから一年半、秋穂もたくさん我慢を強いられていたんだ。
辛かったのは病気になった私だけじゃないって、わかっているようでわかっていなかった。
「きっと、今頃言いすぎちゃったなあって反省してるわよ」
そう言うお母さんの言葉に、苦笑してうなずく。
うん、きっとそうだろう。
秋穂は正直で、まだ私よりちょっと幼いだけ。
「まだ若いんだから、これからどんなことだってできるようになるのにね」
「若いって……あんただって若いじゃないの」
お母さんに突っ込まれて笑う。
そう、年齢だけ見れば私だって若い。
でも、秋穂と私じゃ、これからやれることの数は比べ物にならない。
ああ、もうやめよう。暗いことを考えるのは。
だって、これから彼氏と人生初の花火デートなんだよ。



