やっぱりダメかあ。

がっくりと肩を落とすと、お母さんから意外な発言が。


「でも、仕方ないか。そういう年頃よね」

「えっ?」

「行ってもいいけど、送り迎えはうちの車。電話をしたら必ず出ること。午後十時には帰ってくること」


え、嘘。

まさかの逆転勝訴。違うか。


「本当に良いの?」


お母さんのエプロンのすそをつかむと、彼女はフライパンの中身をお皿に移しながらうなずいた。


「今まで、やりたいこと色々我慢してきたものね」


その言葉は、誰よりもずっと私に寄り添ってきてくれた人だからこそ出るものだろう。

病気で色々なことを制限されてきた私の苦しみを、お母さんは間近で直視していた。


「それに、瑞穂は悪いことをするような子じゃないって、信じてるから。それに、お母さんだって乙女だった頃があるのよ。好きな人と花火を見に行きたいって気持ちは、すごくわかる」