文化祭の頃には、私はもう……。
その考えばかりが、頭の周りを蠅のように飛び回る。
「そういえば、昨夜のあれ、なんだったの?」
無理やり話題を変換する。
昨夜のメッセージは、いったい何だったのか。
私の日曜の予定を聞いておいて、その後返信なしとはどういうこと。
「ああ……あれね。日曜さ、俺の地元で花火大会があるんだけど」
「けど?」
「誘いたかったけど、さすがに夜遅くなるから、親御さんの許可取れないかなって思って」
じゃあどうして、そうメールしない……。
どうせ、その長文を入力するのが面倒くさかったんでしょ。
「花火かあ……」
そりゃあ、行きたいけど。
健斗と花火を見られるなんて、とても楽しそうだけど。
花火大会の会場周辺は当然バイクじゃ行けないし、そうすると電車になる。
「一回お母さんに聞いてみる。最寄り駅まで送り迎えしてもらえそうなら、行きたい」
この前ちょっと遅くなっただけで、えらい心配の仕方だったもんなあ。
どうにかして行きたい気持ちはあるけど、家族に心配もかけたくないし。
「うん。相談してみて」
健斗も控えめにそう言うと、台本を置いて残りのお弁当を食べ始めた。



