またこんな風に会えるとは思わなかった。

 近江君もこれを見て、はっとしたから、メールを送らずにはいられなかったのだろう。

 何も言葉が書いてなくても、私には充分その意味がわかる。

 ブンジの道しるべ。

 私の願い通りに、近江君の前に現れてくれた。

 ブンちゃん、グッドジョブ。

 机の端に置いているブンジの遺骨が入った骨袋を私は抱いた。


 その後、すぐに近江君に返信した。

 『ブンジは見ている』と。

 私も余計な事は書かなかった。

 これだけで近江君には何の事かわかるはずだ。

 そして、その後近江君から再びメールが届くことはなかった。

 私も出さなかった。



 夏休みは部活の合宿もあり、加地さんと常盤さんと何が楽しくて一緒に寝泊りしなければならないのだろうと思った事もあったけど、その頃になると意地悪をする余裕がないくらい、忙しくなっていた。

 それに常盤さんがなぜか私に優しくなっていて、加地さんが私に対立しようとすると、庇ってくれることがあった。

 二年生の常盤さんに言われると、加地さんは大人しくなり丸く収まるからその後はやりやすくなっていく。

 私としたら、あの二人はものすごく意気投合しそうに思え、フュージョンして意地悪されるのではと恐れていたから驚きだった。

 まず常盤さんが変わった背景に彼氏ができたというのが一番大きかった。

 なんでも私に敵意をぶつけようとしたときに、攻撃に失敗してぶつかってしまった男子との出会いがきっかけとなり、その後お互い意識するようになっていったらしい。

 常盤さんは、少し言いにくそうにわざとツンとすましてたけど、結局は私が媒介となって怪我の功名となったので、邪険にできなくなったらしい。

 そこに櫻井さんがいなくなったことで、親衛隊のフリをする意味もなく、やっとバカなことをやっていたと気がついたそうだ。

 恋をする常盤さんの変わり様は、棘棘のきつい女性から、刺がとれてきりっとした美しさが出ていた。


 心が変わるだけで顔つきが変わってくるから、恋の威力はすごいと思った。

 それは自分がどういうイメージで見るかでも、相手の顔を違って見せるのかもしれない。