時計を見れば、三時半を過ぎた頃だった。

 これなら余裕だと思ったが、空港が広すぎて、どこに行けばいいのかわからなくて焦ってしまう。

 空港会社によって行く場所が違うし、本当に近江君はこの空港に今いるのだろうか。

 どこを見ていいのかもわからない。

 調べ方が分からない。

 藁をも掴む思いで、案内所に駆け込んだ。

 とてもキレイで清楚なお姉さんが「どうぞ」と手を差し伸べてくれた。

 目立つ衣装に、首に巻いたスカーフが気品高く、しぐさまでも洗練されていた。

 優しく柔らかな声で、私が知りたかった事を丁寧に教えてくれ、とても助かった。

 そのシアトル行きの飛行機が6時の出発というのも分かった。


 かなりの余裕があると安心したとき、お姉さんは急いだ方がいいと知らせてくれた。

 国際線は2時間前に搭乗手続きをするので、すでに済ませている可能性がある。

 その時、時計を見ればすでに四時近くなっていた。

 早めに来てチェックインを済ませていたら、この広い空港のどこに居るのかわからなくなる。

 もしかしたら、早く出国審査に向かってしまうかもしれない。

 そこは一般の人は入れないから、そこに行ってしまったらもう会えなくなる。

 と、説明してくれた。


 これでは全く余裕がないではないか。

 私は慌てて礼をすると、すぐさま教えられた場所へと向かった。