期末試験が近づくと、部活は休みになる。

 暫し、放課後は解放されるが、テストが近づくのはいい気がしなかった。

 そんな時に、ブンジが餌を食べなくなった。

 大好きなおやつを見せても、興味なさそうにじっと部屋の隅でうずくまっていた。

 便秘で上手く排泄ができないと勝手に思いこみ、私はすぐに元気になると高を括(くく)っていた。

 だけど、いつものお気に入りのソファーの上に行かず、テーブルの下や、部屋の隅などでじっとするようになった。

 母がまた獣医に連れて行ったが、検査後、腎臓の数値が悪く出てしまった。

 ブンジは以前量った時からすでに体重が2kgも落ちており、かなり痩せていた。

 以前父が痩せたといった時、私は太り気味だからちょうどいいとかいっていたけど、あの時もっと気を配るべきだった。

 ブンジが少しでも気持ちよく過ごせるようにブランケットを数回折って、柔らかなベッドをこしらえて居間に添えた。

 ブンジの負担を軽減しようと猫のトイレも近くに用意した。

 自ら食べようとしないので、お湯でふやかしたキャットフードをスプーンで無理にブンジに与える。

 苦しそうにして嫌がっていたが、心を鬼にして、とにかく食べさせた。

 食べなければブンジは確実に死んでしまう。

 シリンダーを使い、動物用の栄養サプリと猫缶を合わせてお湯で溶いて、それも飲ませた。

 簡単に喉の奥へ流れてくれないから、ブンジは上手く飲み込めず、その度にえずいていた。

 それが苦しそうで私も涙が出てくる。


「ブンちゃん、食べてお願い」

 絶対に元に戻ると信じて私は精一杯介護した。


 寝る時もキャンプで使う寝袋を引っ張り出して、ブンジの隣に並べて居間で一夜を明かした。

 その時は私の枕元に来てくれて、そこで丸くなって私に寄り添って一緒に寝てくれた。

 耳の真横でグルグルとブンジの喉の音が聞こえる。

 きっとブンジはまた持ち直す。

 そう信じてそっと頭を撫でてやった。

 朝、夜明け前に目が覚めて、ブンジの様子を伺えば、私の側で丸くなっている姿に少し安堵した。

 トイレも使ったようで、猫砂が少し外に飛び出していた。

「ブンちゃん、えらいぞ」

 体を撫ぜると喉をすぐにならして、頭を持ち上げた。

「早いけど、朝ごはん食べようか」