受けるべきか、断るべきか。
 それが問題だ。


 その晩、自分の部屋で一人になると、再び草壁先輩から告白を受けたことで頭が一杯になった。

 ぐるぐると告白された場面が、こびりついて耳から離れない曲のように何度もリピートされている。

 自分がまず、現実に起こったことなのか信じられないでいる。


 でも本当は自分でも分かっていた。草壁先輩がかっこいいアイドルだから、恋のヒロインになれたと自己満足で喜んでいるだけ。

 返事を引き延ばしてあれこれ考えている自分に酔っている。


 私は草壁先輩のかっこよさと、その人気をまず考えて、彼女になった時の優越感に周りの羨望の眼差しも含めて、その時の自分の存在感を第一に想像してしまった。

 本当に草壁先輩の事が好きならば、その場で即決で受けていたはずである。


 憧れはあっても、私のようなものが草壁先輩と付き合うなんて、いやこれは月とすっぽん過ぎて世間も許さないだろう。

 しかし、即決で断らなかったのも、ひたすら千載一遇だからと、それを無にしてしまうのが惜しかっただけ。


 かっこいい彼氏が欲しいと思ってはいたけど、こんな突然にかっこよすぎる人から好きだと心の準備もないままに告白されても、小心者の私にはレベルが高すぎだ。


 と、あれよこれよと論理つけて考えてみるも、これもまた厄介な問題ごとには変わりなかった。