そんな思いを抱えつつ、毎日は過ぎて行き、それだけでは終わらない新たな事もどんどんやってくる。

 その一つに、下駄箱にサクライさんからの警告の手紙が入っていたときは、マネージャーになったことを後悔した。

 その手紙には、私がマネージャーになった事は歓迎していないが、仕方のない諦めから始まり、サッカー部に入ったからといって、草壁先輩とは距離感を持つことやいい気になるなといった、一応心得みたいなのが書かれ、恨みつらみの感情が込められているようだった。

 表向きは大人な対応でも、手紙に本心を書いて知らせて来たのだろう。

 それでも、私は真摯に捉えておこうと思う。

 今更嫌だとは言えず、後にも引けないし、サクライさんはそのうち辞めるから、それまでの辛抱なのかもしれない。

 だけど、私はサクライさんの事を尊敬の念を持って見ているだけに、嫌われているってなんだか悲しい。

 殆ど諦め気味に、言い分を受け入れ、その手紙は戒めとして鞄に入れていつも持ち歩くことにした。

 こんなトラブル続きでも、サッカー部のマネージャーになった事はちょっとしたニュースとなり、すぐさま相田さんの耳にも入り周りが騒ぎだした。

 お蔭で周辺が賑やかになり、人が集まり出す。

 そっとして欲しいというのに、いつも真逆の方向へ行くのが辛い。

 ただ、一定の距離を保ちながら希莉も柚実もその輪に入ってたから、雨降って地固まるじゃないがどさくさに紛れてまた元に戻れる期待も抱く。

 時々希莉を見つめ、すぐにでも寄りを戻したいと笑顔を送れば、希莉は私の微笑みに逡巡する。

 唇がかすかに動きながらも声が伴わず、結局はぎこちなく目を逸らして他の人の会話に視線を向けてしまった。

 柚実も私達がいつまでも進展することないこの態度に、いい加減飽き飽きしてきた様子でヤキモキしていた。

 私達の目の前で露骨に溜息を吐いたり、独り言を話しているようで、不満を少しだけ漏らしたりする。

「最近肩凝ってきちゃってね」

 自分の肩をトントンと手で叩いて、見せ付ける。

 希莉はその度に途方にくれ黙り込んでしまうが、私はヘラヘラとした見せ掛けの笑顔をつい作ってしまう。

 希莉は頑固に突っ走り、私は全面的に折れて希莉の心が開くのをひたすら待つという状態がずっと続いていた。