「ふぁ…、いってきます……」

わたしは、小さくあくびをしながら、家のドアを開ける。

「おっはよーっ! みさ〜」

「っ! か、カナ、もぉ……」

「目、覚めるでしよ? おはようございます」

「おはようございます…」

デジャヴのようなカナの登場のあと、わたしは、カナの髪型に目を向ける。

「あ、カナ、ポニーテールだ? 珍しいね」

「あー、うん。動きやすいしねっ、今日はこれでいくよ」

笑顔でポニーテールをぶんぶんと振るカナは、わたしの方を見て、首をかしげた。

「みさは、髪、おろしていくの? 暑いよ? 多分」

「え、そ、そう?」

「うん! せっかくの体育祭じゃーん、盛り上がっていこうよー」

「むむ、そうか……」

今日は、体育祭。

行事大好き人間のカナは、朝からテンションが高い。

わたしは、カナほどでは、ないけれど。

それなりに、楽しみでは、あるんだ。




駅について、電車に乗り込むと、わたし達と同じ体育着の人を見つけて、カナが声をかけた。

「涼ー、こっちこっち」

「和泉くん、おはよう」

「おっはー」

カナがわたし達の近くに和泉くんを呼ぶ。

(そういえば、カナが和泉くんのことを涼、って呼ぶことにも聞き慣れてきたなぁ…)

そんなことを考えながら、挨拶をかわす。