視線が刺さる。居心地は良くない。


綺麗な黒板に白い線が走る。

粉を払い終え「黒那唯さんだ。」といい、自己紹介を求める。


『黒那唯です。両親の転勤でこの学校に転校してきました。よろしくお願いします。』

お辞儀をするとパラパラと拍手が送られる。


勿論両親の転勤は嘘だ。こうでもしないと新しく始まって一ヶ月のこの梅雨入り前での転校はみんな不思議に思うだろう。