バスがつき、私の意識は現実に引き戻された。


「...いいの、これで...もう、未練なんて...」


未練なんて...


「...あの、お客様?乗られますか?」


怪訝そうに運転手さんが、私にたずねる。


あ、


「はい、乗ります、すみません」



時間が時間だからか、


仕事帰りのサラリーマンや、


私と同じように帰宅部らしき学生が溢れかえっていた。


僅かに空いていた席に私が腰掛けると同時に


プシューっとドアが閉まった。