「如月さんは違いましたが、元暴走族の人間と言うと
大概の方はあまりいい顔はされませんので」
「...そうなんですか」
「別に、特別暴れていたわけでもないんですけど
そういうのは関係なく【暴走族】というくくりでみられますし、
印象的にも、あまり社会に貢献している組織ではないですから」
...ひとつだけ、疑問がでてきた。
「...だったらなんで暴走族に入ったんですか?」
私の問うと、佐倉さんはほわっと微笑んだ。
「居場所だったんです。当時どうしても荒れてしまう年頃で
親と喧嘩ばっかりして、家にも学校にも居場所がなくて。
そんな私の居場所を作ってくれたんです。【空蝉】が。
いい子でいなくてもいい。飾らないでもいい。
気楽でワイワイ出来る。楽しい場所...そんな認識でした。私は」


