そして、俺はその女、もとい如月咲と出会った。
咲が俺のもとへ落ちてきた時、
俺は桜の精だろうかと自分の目を疑った。
烏の濡れ羽色の、艶めいたサラサラの長い髪に
どこか赤味を帯びた灰色の目。
そしてそれ縁取る長いまつ毛。
真っ白な肌と桜色の唇とほほ。
小さな鼻、すべてが美しく整った顔は
あのseasonのハルキに似て非なるようだった。
あの小さな顔は俺の両手ですっぽりおさまるだろう。
華奢で細い体は曲線美をつくりあげて
猫のようなしなやかな動きには目を奪われる。
彼女の左耳でリングピアスがきらりと光った。
すべてが目を引く。
その美貌を兼ね備えて
彼女の苦しみがいっそう浮かび上がるようだった。
俺は……
如月咲、
という女にどうしようも無く興味が湧いたのだった。