オトシモノ






いつもと変わらない朝



重いまぶたを擦りながら、教室へと入る



だけどこの日はいつのも朝ではなかったようで



クラスメイトの空気が異常に重いことに気づいた



皆、うつむいている



特に女子は涙を流す者もいた



僕は自分の席へと歩き出す



ちょうどその斜め前の席には



花束やお菓子が飾られていた



朝のホームルーム



重い足取りで教室へ入ってきた担任は



一呼吸してから『彼女』の名前を口にする



昨日の放課後、自宅で遺体となって発見されたと



死因は失血死



自殺だそうだ



おかしいな



ちょうどその時間はこの教室で、僕と話していたのに



それに、僕の斜め前の席にはいつもと変わらぬ彼女がいた



昨日とは打って変わって元気そうだ



こちらの視線に気づいたのか、僕の方を見て微笑んだので軽い会釈をする



あぁ、こんなに気分がいいのはいつぶりだろう




この退屈な日常から抜け出せそうな、そんな感じがした



ホームルームの終わりを告げる鐘が鳴ると




僕は自分の机に飾られた花を眺めながら、珍しく微笑むのだった



-fin-