『ピュピュッ』


ピーチという小鳥に向かって口笛を吹いている。
ガサガサと動いていた小鳥は、『クルル』と鳴いて静まった。


「いい子にしとけよ」


話しかけて部屋を出た。
まるで小鳥使いのような課長のことを不思議な感覚で見ていました。


部屋の鍵を渡して開けてもらった。
荷物と一緒に中に入れられ、「ゆっくり休め」とドアを閉められた。



(こんなことになるなんて……)


ぺたん…と床に座り込んだ。

課長のプライベートだけでなく、自分の過去までも知られてしまうことになるなんて。



(でも、あの場合、なんて答えれば良かったの……)


嘘がつけなくなったのも、元は言えばあの日のせい。


何もしていないのに、叔母からはいろいろと冷たくされた。

私が叔父と話すのも気に入らず、まるで監視をするような目で睨まれた。

嘘をついてもいないのに恐ろしかった。

だから、本当に嘘を吐こうとすると舌を噛む。



トラウマしか残らなかった家。


あの恐怖を忘れることが私はできるんだろうかーーー