隣に住むのは『ピー…』な上司

「やっとお目覚めか」


呆れたような顔つき。
訳がわからない私は、ボンヤリと課長の顔を眺めた。


「倒れたのも忘れてる感じだな」


呆れながら寄ってくる。
ソファの上に寝かされていた私は、近づいてくる課長に合わせて起き上がった。



「大丈夫か？」


１メートルくらいの辺りで立ち止まって話しかけられた。


「なんとか」

……も何も、どうしてここにいるのかがわからない。



「あの、ここは課長の？」

「そう。俺の部屋だ」


やっぱり……というか何故？


「君の手荷物の中までは調べることができなくてね」


仕方なく自分の部屋のドアを開けたんだそうだ。


「グッタリしてたから横にしたけど」


簡単に経緯を教えてくれる。



「それはどうも、申し訳ございませんでした」


ペコリと頭を下げて謝る。

困ったような顔をしている課長に気づき、慌ててソファから立ち上がった。


「す、すみません！大変お世話になりましたっ！」


お辞儀をしたまま顔を上げず、部屋の出入り口へと向かった。


「おいっ、そっちは…！」


課長の声なんて耳に入ってない。
ガチャとドアのノブを捻って前を見たら、大きなベッドが置かれていた。



「…っ！」


思わず息を吸い込む。

ドクン！…と胸が鳴った。
ドキン！…とだったかもしれない。



「君の部屋とは作りが逆なんだよ。出入り口ならあっち」