押え付けられてベッドの上に倒された。

もがいて暴れても、泰明の腕は降り解けなかった。


ブラウスのボタンが弾け飛んだ音がした。

荒くなった呼吸が聞こえ、一層恐ろしくなった。



『誰か……!』


助けを求めて声を出した。

そこにドアが開いて、叔母さんが部屋に走り込んできた。




『泰明っ!』


大きな声にハッとして、私から離れました。

ブルブルと震える私よりも呆然としている彼の方を見て、叔母さんは喋った。



『藍に拐かされたんだよね?』



違う!…と叫びたかった。

いきなり押し倒されて、襲われそうになったのは私だと言いたかった。



……でも、声が出せずにいた。

怖くて恐ろしくて、声も出せないくらい震えていました。



『とっと出て行きなさい!』


甲高い叔母さんの声に弾かれるように部屋を飛び出した。

美幸ちゃんと一緒に使ってた部屋へと走り込み、布団の中に隠れた。


隠れても誰かが来そうな気がして怖かった。

落ち着かなくて、その夜はご飯も食べれなかった。




翌朝、皆が仕事や塾や部活へ行くと叔母さんが私に言った。


『中学を卒業したら家を出ていって。藍がいたら泰明が壊れる』



私は何もしていません。

泰明に壊されたのは私の心の方ですーー!



そう叫びたいけれど、叫ぶのも虚しかった。


この家は私の家じゃない。

そうハッキリと確信させられたーーー