課長と食事をした後、展望デッキへ上ってみました。
デートスポットらしく、たくさんのカップル達がいて……。


(さっきから目のやり場に困るシーンが多いんだけど)


ベタベタくっ付くのは当たり前。
中にはそれ以上のことを人前でしている人達もいて。



「課長…」


「下りませんか?」と言ってもいいものだろうか。
私と課長はそんな間柄でもないんだし。


「ん?」


下を見下ろしていた目がこっちを向いた。
ただそれだけだというのにーー


(困った…)


ドキドキする胸の鼓動が止まらない。
刺激的すぎるカップルのせいにしておきたい。


「あの、そろそろ下へ…」


私のことを見ているのかと思われた目線は、スルッと横に逸れていった。


「ハヤブサ…」

「えっ?何のことですか?」


……と言うか、私の言葉聞いてました!?


「ハヤブサの巣があるらしいぞ。そこに」


私の後ろを指差します。


「え!?どこ?」


振り返った後ろから課長の体が迫ってきた。


「あそこだ」


指を差すから余計にくっ付く。


(ひゃぁぁぁ)


声に出せない叫びを抑え、指差された方向を眺めました。
展望デッキの片隅に、小枝で作られた鳥の巣が見える。



「ホントだ」


驚いて振り返ると、課長の顔はすぐ横にあって。

ドキン!と胸が弾けて心臓が飛び出そうなほど驚いた。

思わず背中を反らせたからバランスを崩しそうになってしまい。