新学期。

 元気に登校した花龍は、憧れのおねーさま琥珀と、頼りになる風紀委員のおにーさま刹那が、腕を組んでラブラブ登校する姿を見つけた。

 琥珀さんと腕なんか組みやがってあの変態野郎、という殺気立った視線の中、花龍だけは周りに花を飛ばすくらいほわわんとした気持ちでそれを見送った。

(いいなぁ、琥珀おねーさま。私も好きな人と腕組んで歩きたいなぁ)



 なんて思ったその日の夜。

「父上ー、お帰りなさぁーい」

 花龍は帰ってきた父の元にトテトテ駆け寄り、その腕に飛びついた。

 そして今朝見た琥珀と刹那のように腕を組んで歩こうとするものの、背が足りなくて上手くいかない。

「んー、んー」

 精一杯背伸びして腕にしがみつこうとする花龍を見下ろし首を傾げていた霸龍闘は、「ああ」と合点がいった顔をして腕をぐいっと持ち上げた。

「はにゃっ?」

 父の腕にぶら下がる格好になった花龍を、霸龍闘はにこやかに見下ろす。

「なんだ花龍、父上と遊びたかったのかー?」

 ほーれ、ほーれ、と腕を上下に揺らして楽しませてくれようとする父を、花龍はちょっぴり哀しげに見つめた。

「……私、早く大人になりたい……」

「えっ、なんで! もう少し子どもでいろよ! 父上と遊ぶの楽しいだろ? なあっ!」

 子ども扱いされて哀しい娘心と、大人になったらお父さんなんか嫌い、あっち行ってとか言い出しちゃうんだろ、やだよ、いつまでも子どもでいてよー、という父心。

 そんなすれ違う親子を陰から見ていたリィが、クスクスと笑っていた。











 でも結局、お膝の上で飛行機遊びとかしてもらって楽しむ花龍なのでした。

 まだまだ子どもです。