「……スタントマンじゃなくて、本物の『二号』をやりたいって?」

 まさかまさか、と思いながら訊ねると、ユリアはにっこりと笑った。

「はい~。そうしたら、エージェント引退しようかな~って。ライくんと一緒にいる時間も増えますし~」

「し、知って……」

「もちろんですよ~。ライくんだって私のこと知ってたでしょう~?」

「そりゃ、知ってた、けど……」

「愛しのダーリンのお仕事くらい、ちゃあんと把握してるんです~」

「……そうか」

 隠していたつもりが、ライダーの正体はバレていた。恥ずかしさもあるにはあるが、ユリアが『麗龍のことだから』知っていてくれたことが少し嬉しい。

 これならもっと早くに話しておけば良かったな、となんだか肩の荷が下りたような心持ちだ。

 それからふう、と息をつきながら頭を掻き、「うーん」と唸る。

「でも、エージェント、引退でいいのか? ……お父さんの遺志継ぎたかったんじゃないのか?」

 そうだろうと思ったからこそ、危険な仕事をする彼女を黙認していたのだが。

「……知っていたんですかぁ」

「そりゃ、愛するハニーのことなら、ちゃんと把握してるさ」

「……ダーリーン!」

 少し照れたようにそう言う麗龍に、ユリアは感極まって抱き着いた。

「いいんです。ライくんと仲良く一緒にいることの方が、きっとお父さんも喜んでくれます……!」

「……そっか。なら、いい。今度お父さんの墓参りに行って、ちゃんと報告しような」

「はい~! ライくん、大好きです~!」

 ユリアが麗龍の頬にキスをして、麗龍もお返しにユリアの頬にキス。

 それを目の前にして、どうしたらいいのか分からないティーダが赤くなりながらオロオロしている。

 頼むから二人の世界から帰ってきて、と願いながら、ティーダはテレビから流れてくるテンジンライダーのテーマを口ずさむのだった。




 というわけで、日曜の朝8時から『テンジンライダー』の放映が始まるよ。

 みんな、よろしくね!











 
 このお話は、フィクションです(笑)

 テンジンライダー二号、誕生しました。