「麗龍く~ん!」

「ユリア? え、なん……まさか、天神に?」

「はいっ。ビックリさせようと思って、内緒にしていました~。……ビックリ、しましたか?」

「……ビックリした」

「えへへ~。今年から天神学園生です~。麗龍くんと同じ、一年生ですよ~」

 制服似合ってます? とユリアはくるりと一回転してみせた。紺色のプリーツスカートがふわりと舞って、柔らかそうな白い太腿がチラリと見えた。

「ばっ……!」

 慌ててユリアを抑え、これ以上回らないようにする。

 何事かと見ていたラッキーな男子生徒たちを視線で射殺し、それからユリアに向き直った。

「相変わらず小さいな」

「これでも10センチは伸びましたよ~。麗龍くんに追いついたはず、です……!?」

 麗龍を見上げたユリアは、愕然とした。

 一年半前よりも、更に見上げないと麗龍の顔が見えない。

「俺、15センチ伸びた」

「えええ、なんでそんなに大きくなってるんですかぁ~! ズルいです~!」

 ぷう、と頬を膨らませ、怒っているような顔をしたユリアは、すぐにその怒りを解いて麗龍を見上げた。

 しばらくじっと見つめ合って、同時に破顔する。

「……会いたかったです」

「うん、俺も」

 笑顔を向けると、ユリアは目を潤ませて麗龍に抱き着いた。それを受け止めて、麗龍も彼女を抱きしめる。

 すると何故か周囲の女子生徒たちから悲鳴が上がった。

 実は麗龍、結構おモテになるのである。

 仏頂面で愛想はなく、決して優しい態度ではないものの、人助けがライフワークのようになっている彼は困っている人を放っておかない。ぶっきらぼうな態度で、しかし押しつけがましくなく助けてくれる麗龍は、知らないうちにファンを増やしていた。