しばらくして、ユリアの母親だという女性が迎えに来た。

「アンタが麗龍くんかい。噂は聞いてるよ。ウチの娘が世話になったね。ありがとう」

 ガシガシと、力強く頭を撫でられる。

 ユリアののほほん加減からは想像出来ない、ブルネットの長い髪の、勇ましい美女だった。

「麗龍くん、ありがとう」

 ユリアはほにゃっと微笑みながら麗龍に手を振り、母親とともに去っていった。

 その細くて白い手を、目を細めて見送る。

 彼女の中指の第二関節付近には、新しいタコが出来ていた。……銃を扱う者によく出来るタコだ。

「アイツ……」

 何者なのか。

 何となく察しはついたが、本人が言わないのならば訊かない方が良いのだろうか。それとも、いつか本人から聞くことが出来るだろうか。

「あ」

 そこで麗龍は気づいた。

 連絡先を訊いていないことに。そしてハンカチもポケットに入れたままだったことに。

「……またシャンリーにどやされる……」

 










 最大の山場、七年目終了。