「麗龍くん、麗龍くん」

 疲労のために少し意識が朦朧としていたようだ。気が付いたらユリアが心配そうに顔を覗き込んでいた。

「……ああ。もう、大丈夫だぞ」

 両親が助けに来てくれたのならもう大丈夫だ。麗龍は心からの笑みを浮かべる。

 ユリアはそれを見て目を潤ませ、深く頭を下げた。

「麗龍くん、ごめんなさい、危ない目に遭わせてしまって……」

「別に、気にすんな。巻き込まれたことに関しては多少腹も立つけど、お前を守ると決めたのは俺だ」

「麗龍くん……」

 ユリアは顔を上げ、感極まったように彼の首に手を回し、抱き着いた。

「うわっ!」

 ユリアの行動にビックリして、すぐに彼女を引き剥がそうとしたのだけれど。

「……ありがとうございます。ありがとうございます、麗龍くん」

 そう言うユリアは泣いていた。

 怖かったのと、安心したのと、守ると言ってくれた麗龍が恰好良かったのと。色々気持ちが織り交ざり、涙が止まらなくなった。

 そして、泣かれた麗龍は硬直した。

 どうしていいのか分からなくなった。

「も、もう、大丈夫だから、泣くな」

 とりあえず、そっと金色の髪を撫でて、泣き止ませようと試みる。

 それでも中々泣き止んで貰えなくて困っていると、戦闘を終えた父がこちらを見てニヤニヤと笑っていた。母も微笑ましそうに見守っている。

 引きつった麗龍の顔がユデダコになった。

 しかし泣いているユリアを突き放すことも出来ず、そのまま羞恥心と戦う羽目になる。