姪っ子がかわいい。

 五年生になった麗龍の思考は、ほぼそれで埋まっている。

 シャンリーがティーダの可愛さについて延々と語っているのだが、ルナの方が百倍も可愛いと麗龍は主張した。それでシャンリーと言い合いになった。

 互いに「ウチの子が一番かわいい(正確にはお前たちの家の子ではない)」と引かないので、最終的には決闘にまで発展した。

 しかしいつまで経っても決着はつかず、そのうち何のために決闘していたんだっけ、と忘れてしまうくらい長いこと戦い続けて、倒れそうになったところに担任の龍乃先生がやってきた。

「結局、自分の家の子が一番かわいいんだよ。いっぱいかわいがってあげな~。にゃは~」

 と、よしよしと頭を撫でられた。

 そんな龍乃先生が一番かわいいのは、もちろん龍一郎と蒲公英だ。



 そんなわけで、麗龍は今日も今日とてツェペリ邸へまっしぐら。

 その途中の坂道で立ち止まり、あのふわりとした金髪の子がいないかどうか確かめるのだけれど、その日も見つけることは出来なかった。

 また会えると、思ったんだけどな。

 そんなことを頭の片隅で思いながら、かわいい姪っ子の元へ走る。