シオンとリプニーの結婚式は、ミルトゥワの大神殿で盛大に行われた。

 継承権を放棄したとはいえ、シオンはまだリザ=ユグドラシェル家の公子であったため──成人したら正式にグリフィノー家に養子に入る予定だ──、シンとリィの時と同様に偉い人がズラリと並ぶ、それはそれは荘厳な雰囲気の結婚式だった。

 立会人は惑星王ルドルフ=アリスィア=ユグドラシェル。

 リプニーの両親であるアリスカと啓太ももちろん参列した。

 前の晩、フェイレイ、リディルとプチ同窓会という名の宴会を行い、飲み過ぎて少し具合を悪くしての参列だったが。

 それでも娘の晴れの日だ。

 しっかり見届けようと、背筋を伸ばして列に並んでいた。


 ドレスのデザインは野菊が引き受けてくれた。極力肌を見せない、レース使いが美しいシンプルなデザインがリプニーに良く似合っていた。その姿はまさに女神。シオンが見惚れて言葉が出てこないほどに美しかった。

 そんな二人を見て、花龍が羨ましそうにしていたのが印象的だった。

 親戚だから当然花龍と麗龍も招待されていた。

 白い頬をほんのり染めてシオンとリプニーを見守る姉を見上げ、麗龍は少しだけ不安になった。

 花龍もいつか──そう遠くない未来、お嫁さんになってしまうのだろうか。

 いつでも会わせてやると、ヴラドは言っていた。

 けれどもあのリプニーのように。結婚することにより、今までよりも更に光輝くような美しい人になってしまった彼女のように、それまで知っていた人とは違う人になってしまうような気がして。

 麗龍の知る花龍が、いなくなるような気がして。

 少しだけ、寂しくなった。