先日の修行により酷い筋肉痛に苛まれているリプニー。重量のある携行砲を持って歩くのだから、そこそこ力はあると思っていたのに、使う筋肉が違うらしい。

　歩くとみしみしと音がしそうな身体。しかし強くならなければならないという使命感により、今日もミルトゥワへ修行にやってきた。

　シオンとシャンリーに連れられて転移魔法陣を通ってきたリプニーが、屋根のある鍛錬場でヴィルヘルムとマリオンを待っていると。

「貴女がリプニー・タナカ？」

　鍛錬場の入り口からやってきたのは、臙脂色のドレスを着たマリオンと、もう一人。白いドレスを着た、茶髪の女性だ。

「は、はい」

　返事をすると女性は大きな猫目を人懐こく細めた。その目がどこかで見たことがあるような気がして、リプニーは首を傾げる。

「初めまして、シオンとシャンリーの母、野菊です」

「シオンくんとシャンリーちゃんの！」

　ああ、通りで見たことがある目だと思った、とリプニーは姿勢を正す。

「初めまして、リプニー・タナカです。この度は修行の場を提供してくださってありがとうございます」

「ううん、いいんだよ。子どもたちがいつもお世話になっているもんね。それにしても……」

　野菊は穏やかな目でリプニーを見た。

　そして。