「それではまず、基礎訓練から始めましょう」

「はい!」

「足腰を鍛えるトレーニングは、今日のところはやりません。リプニー様のお時間のあるときに、コツコツと修練を積むようにしてください」

「はい!」

「ではまず、戦闘の基本である歩法を身につけましょう」

「歩法、ですか」

「はい。銃使いの貴女がもし接近されたら、どのように対処しますか? まず敵から離れ、適正距離を保たなくてはなりませんよね?」

「はい」

「逃げるためには足です。足を動かして距離を取ります。逆に、敵に射撃範囲内から出られてしまったら、追わなくてはなりません。この時も足を使いますね。敵との適正距離を維持する。このための手段が歩法です。近接でもそれは同じですので、覚えておくと良いですよ」

「はい」

「歩法には色々ありますが、基本的な動きはこうです」

 マリオンはすすっと音を立てない動きで、あっという間にリプニーの目の前までやってきた。気が付いたらもう、彼女の顔が目の前に。これは先日、シオンに接近されたのと同じだ。

「歩いてきたように見えましたか?」

「い、いいえ! なんだか急にぱっと近づいてきました!」

「そうでしょう。これがすべての動きの基本になりますので、一度やってみましょう」

「はい!」

「気を付けることは、頭と肩の位置を上下させないこと。膝を使って歩くことですよ」