ポプリ

 ルルディ家の伝手で急遽約束を取り付けてもらったフルート家に向かったシオンたち。ちなみにフルート家は、クラウディアを祖とする家だ。


 シオンの目の前に座ったほっそりとした優男は、人の良さそうな顔をくしゃりとさせて笑った。

「シオン殿に会うのは準成人の儀以来でしょうか。わざわざ僕なんかに会いに来てくださってありがとうございます」

 穏やかな声で喋り、細い目を更に細めて微笑むカミーユ。

「ああ、お茶をどうぞ。僕の父の実家が茶葉を生産しているので、茶の時期になると頂くんです。とても香りが良いんですよ」

 えへへ、と照れ笑いしながら語りかけてくる謙虚で優し気な男、カミーユ。

 この人の良さそうな彼にアイシャを押し付けて大丈夫だろうか。シオンは若干不安に思いながら、単刀直入に話を進める。

「じゃあ有り難く頂くぜ。……で、アイシャのことなんだけどさ」

「アイシャの……そうですか。あの子はまだ皇太子に難問を突き付けているのでしょうか」

「うん」

「それは皇太子もお困りでしょう……。僕からも何度か注意はしているのですが、なかなか言うことを聞いてもらえません」

 困ったように苦笑するカミーユ。

「まあそう言ってやるなよ。全部あんたのせいなんだからさ」

「えっ?」

「アイシャは皇太子に嫌われたら婚約破棄出来ると思ってるんだ。あんたが好きだから」

「えっ……」

 カミーユはみるみるうちに白い肌を赤く染めた。

 これはアイシャと同じ反応だ。シオンは内心ガッツポーズ。