ポプリ

 まず最初にアポイントメントが取れたのは、ルルディ公家のアイシャ姫だった。ルルディ家には野菊と仲の良いシャルロッテがいるので、話がすぐに通ったのだ。

「で、何の用だ、このクソ破廉恥野郎が」

 ピンクブロンドの長い巻き毛をポニーテールにした美少女が、汚らわしいものを見るかのように紅い目を眇めてシオンを見下した。

 見下されているのは、シオンがソファに座っていて、ドレス姿だというのにアイシャが片足をテーブルに乗せて立っているからだ。

 これが公女のする態度か、とシオンはドン引いた。

 確かに自分も公子らしくないが、これはないと思った。いくら魔力が高くても、こんなのを皇太子妃候補とする神殿の気が知れない。

「いつも皇太子を殴っていると聞いたが」

「ハン! どうせマリアベルに泣きつかれたんだろう。兄上様をいじめないでぇ~って」

「……まあ、そんな感じだけど」

「うるせえよ、だってアイツ嫌いなんだからしょうがねぇだろ! 男のくせにナヨナヨしやがって!」

「それを言ったら女のくせに言葉遣いと態度が悪いお前はどうなんだって言われるぞ」

「男だ女だと差別すんのかよ!」

「先に男のくせにと言ったのはお前だ」

「つべこべうるせえ!」

 だん、とブーツを履いた足がテーブルを蹴り飛ばす。本当に、何故皇族にこんなガラの悪い姫が生まれたのか甚だ疑問だ。マリアベルが女神に見える。