「だって……兄上様がアイシャ様に好意を寄せていないと知って、嬉しいと思ってしまって……。婚儀も近いというのに……祝う気持ちが少しも湧いてこないのです……」
皇族の男子は18歳の成人の儀と同時に婚儀も行うことが多い。しかし今年成人を迎えた皇太子は公務の忙しさを理由に婚儀を引き延ばしている。……理由は想像に難くない。十中八九、元気の良すぎる婚約者のせいだ。だがそれでも結婚が秒読み段階に入っていることは確かだった。
それでもマリアベルの想いは消えない。それどころか、ますます強まっているように見えた。そんな彼女が兄を祝うことなど、無理だろう。
「そりゃあ、な。しょうがないんじゃないか。……俺も、花龍に好きなヤツが出来ても、祝えるか分からないもんな」
飲み込んだパンがうまく喉を通らず、お茶に手を伸ばす。
未だ消えないこの想い。
胸の奥から取り出して、遠くに捨ててしまえたらいいのに。本当にどうしようもない。
「ファロン様……。あの……ファロン様は、シオン様の求婚を断った後も、ずっと仲良くしていらっしゃるのですよね?」
「うん、まあ」
「少しはシオン様を想ってくださっているのではないのですか……?」
「……どうだろうな。家族みたいな好き、らしいけど」
「本当にそうなのでしょうか。もう一度、お聞きになってみてはいかがです……?」
皇族の男子は18歳の成人の儀と同時に婚儀も行うことが多い。しかし今年成人を迎えた皇太子は公務の忙しさを理由に婚儀を引き延ばしている。……理由は想像に難くない。十中八九、元気の良すぎる婚約者のせいだ。だがそれでも結婚が秒読み段階に入っていることは確かだった。
それでもマリアベルの想いは消えない。それどころか、ますます強まっているように見えた。そんな彼女が兄を祝うことなど、無理だろう。
「そりゃあ、な。しょうがないんじゃないか。……俺も、花龍に好きなヤツが出来ても、祝えるか分からないもんな」
飲み込んだパンがうまく喉を通らず、お茶に手を伸ばす。
未だ消えないこの想い。
胸の奥から取り出して、遠くに捨ててしまえたらいいのに。本当にどうしようもない。
「ファロン様……。あの……ファロン様は、シオン様の求婚を断った後も、ずっと仲良くしていらっしゃるのですよね?」
「うん、まあ」
「少しはシオン様を想ってくださっているのではないのですか……?」
「……どうだろうな。家族みたいな好き、らしいけど」
「本当にそうなのでしょうか。もう一度、お聞きになってみてはいかがです……?」


